ビジネスローン

事業資金を賃金業者から借り入れる時の注意点|今申し込める公的支援は?

事業を開始する際、運転資金や設備資金をどのように調達するか、頭を悩ませるケースも多いのではないでしょうか。

金融機関から借り入れる方法だけでもさまざまな種類があり、それぞれ金利や利用限度額、審査期間などが異なります。

利息の返済が負担に感じる人には、融資以外の資金調達方法もおすすめです。事業内容や返済プランに応じて、最適な方法で借りられるとよいでしょう。

そこで今回は、事業資金の調達方法や借り入れ時の注意点をご紹介します。調達した資金を返済する必要のない、公的支援制度も3種類お伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

事業資金を借り入れできる5つの金融機関

個人事業主や企業が事業資金を借りるには、次の5つの金融機関を利用できます。

日本政策金融公庫
商工会・商工会議所
民間の銀行
信用金庫
ノンバンク

どこから融資を受けるかによって、事業の資金繰りや今後の事業計画にも影響します。ここからは、それぞれの金融機関での融資について詳しく見ていきましょう。

1.日本政策金融公庫|低金利で事業資金を借り入れる

政府が運営する金融機関の日本政策金融公庫の特徴は、金利が低い点です。

不動産や有価証券などの担保が提示した場合の基準利率は年1.11~2.20%です(2021年3月現在)。担保なしの場合でも年2.06~2.55%の範囲におさまるため、銀行でビジネスローンを契約(年利3~14%前後)するよりも返済額を抑えられます。

また、「新創業融資制度」と「中小企業経営力強化資金」で借り入れをする場合は、原則、担保や保証人が必要ありません。

ただし、ほかの民間金融からの借り換えはできません。低金利で借りやすい日本政策金融公庫に融資の申し込みが集中してしまうと、民間金融の事業が成り立たなくなる恐れがあるからです。

2.商工会・商工会議所|金利が最低水準のマル経融資がお得

全国に1,700箇所以上ある商工会では、担当する地域で小規模事業者向けの融資を行っています。

融資制度は各地域の商工会や商工会議所によって異なりますが、主要な融資制度に「小規模事業者経営改善資金(マル経融資)」があります。

マル経融資は最大2,000万円までの事業資金を借り入れできるうえ、担保や保証人も要りません。2021年2月28日時点の金利は1.21%と、日本政策金融公庫並みの低金利となっています。

ただし、商工会議所会頭や商工会会長の推薦が必要で、6ヶ月以上は商工会・商工会議所の指導を受けていることが条件です。そのため、金利は低いものの、借りやすさの点では日本政策金融公庫の融資が勝るといえるでしょう。

とはいえ、基準金利は最低水準なので、すでに商工会や商工会議所に入会している事業者にはマル経融資がおすすめです。

3.民間の銀行|目的に応じて融資サービスを選択可能

民間の銀行から事業資金の借り入れを行う場合、「プロパー融資」と「ビジネスローン」の2種類を利用できます。

プロパー融資とは、信用保証協会を介さずに銀行と直接借り入れ契約を結ぶサービスです。

保証料がかからず利用限度額の上限もないこと、さらにビジネスローンに比べて金利が低いことがメリットです。その代わり審査が厳しく、融資を受けるハードルが高いことがプロパー融資の難点といえます。

ビジネスローンとは、金融機関が提供する法人専用の融資サービスです。プロパー融資と比べて審査が緩やかに行われ、融資スピードが早い一方で、高金利で保証料がかかるといった特徴があります。

事業融資は資料提出や審査により、借り入れまで1ヶ月以上の期間を要する制度やサービスが多い中、ビジネスローンは最短1週間ほどで借り入れが可能です。

また、プロパー融資に比べて審査も緩めに設定されています。公的金融機関の融資やプロパー融資の審査を通過できない場合、ビジネスローンがおすすめです。

ただし、上限金利を14%前後に設定しているケースも珍しくなく、ビジネスローンは返済額が高額になりやすいので注意しましょう。

4.信用金庫|融資以外に経営相談にも応じてくれる

信用金庫とは、中小企業や個人を主な取引先とする金融機関です。

「従業員300人以下」または「資本金9億円以下」の条件を満たす、小規模事業者向けの融資サービスを提供しています。

銀行の事業資金融資に比べて審査が緩く、どうしても銀行の審査に通過できない事業者におすすめです。

各地方に根ざした信用金庫では、地域内の事業支援や起業支援を行っているケースも珍しくありません。事業資金を調達する際に経営面に関するさまざまな相談に乗ってくれる場合もあります。

創業して間もない事業者や企業にとっては大きなメリットになるでしょう。

一方、銀行で借り入れを行うよりも金利は高めに設定されています。一般的に信用金庫は、小規模事業者に少額融資を行っており、1件あたりの貸出利益が少ないためです。

5.ノンバンク|手早く事業資金の借り入れができる

消費者金融や信販会社など、銀行以外で融資を行っている金融機関がノンバンクです。

ノンバンクは、事業用の運転資金や設備資金をすぐに借りたいという人に向いています。
なぜなら銀行や公的機関の融資サービスよりも審査期間が短いからです。

対応が早いノンバンクであれば、最短数日ほどで借り入れができます。

しかし、事業資金融資の中でもっとも金利が高い部類です。上限金利が年18%に設定されているケースも多く、銀行のビジネスローンよりも割高です。

審査がそれほど厳しくないため融資スピードは早いものの、返済額が高額になる恐れがあるため、最終手段として検討することをおすすめします。

借り入れ以外で事業資金を調達する3つの方法

事業資金を調達するには、ここまでご紹介した5種類の融資サービス以外にも方法があります。

借り入れ以外で事業資金を調達する方法は次の3つです。

ファクタリング
クラウドファンディング
補助金・助成金

それぞれの資金調達法について見ていきましょう。

1.ファクタリング|売掛債券を売却して即時に資金調達する

ファクタリングとは、現在保有する売掛債権(売掛金など)を売却して現金化するサービスです。債務者の代わりにファクタリング会社が代金を支払う仕組みで、債権をファクタリング会社に渡すことで、即座にその代金を受け取れます。

債券の受取り期日前に代金が支払われるため、資金調達の即効性に優れます。売掛金などの債権があり、なおかつ直近の資金繰りに悩む事業者の方におすすめです。

また、借り入れサービスとは異なり、ファクタリングには返済義務が生じません。

万が一売掛先の企業が倒産したとしても、売却した債権の代金は手元に残るため、貸し倒れリスクを最小限に抑えることができます。

借り入れとは違い利息は発生しませんが、手数料がかかる点には注意しましょう。利用する会社や契約方法などにより、10~30%程度のサービス利用手数料が発生します。

2.クラウドファンディング|全国の出資者へ直接出資を募る

Web上で広く情報を発信し、多数の出資者から事業資金を募る方法がクラウドファンディングです。

たとえば、時計を扱う新興ブランドが新しく腕時計を発売するとしましょう。その腕時計のデザインや仕様、発売予定時期などの詳しい情報をWeb上に公開しておくと、その時計を欲しいと思った出資者が資金を提供してくれます。

事業者はその資金を開発資金などにあてることができ、無事に販売が開始されれば返礼品として新商品を出資者へお返しする仕組みです。

上記は「購入型クラウドファンディング」と呼ばれますが、ほかにもシンプルに事業用の運転資金や設備資金の出資を募る「金融型クラウドファンディング」も存在します。

中期経営計画に則って事業が成功した際には、出資者へ元金や利息などの金銭的なリターンを還元します。

事業の内容を判断するのは趣味趣向が異なる数多くの出資者です。そのため、銀行や公的金融機関では判断が難しい不確実な事業にも投資してもらえる可能性があります。

3.補助金・助成金|少額の借り入れで返済不要

開業して間もない創業者や資金繰りに悩む小規模事業者を支援するため、国や地方自治体によりさまざまな補助金や助成金が提供されています。

補助金や助成金は、借り入れとは異なり返済の必要がありません。返済不要なので限度額は少なめですが、事業資金の2分の1から3分の1を補助金・助成金でカバーすることができます。

また、補助金や助成金を申請する過程において、事業計画や社内制度を整備できる点もメリットです。

支援を受けるまでの流れは、必要書類を提出しその後に審査を受けるというものです。条件を満たすには必然的に社内体制の整備が必要です。おのずと事業計画や社内規則などを見直すことができます。

一方、支援を受けるまでに長い期間と労力が必要です。厳しい条件をクリアするために多くの書類作成をしなければならず、さらに説明会や資料提出、面接に何度も出席するなどの手間がかかる可能性があります。

事業資金を借り入れする際の3つの注意点

運転資金や設備資金を含めると、事業資金は大きく膨れ上がるでしょう。

そこで事業資金を借り入れする際は以下の3つの点に注意が必要です。

そもそも借り入れする必要があるかを考える
返済計画を立てた上で借り入れする
審査の甘い借りやすい金融機関は金利が高い

元本が高額になるといくら金利が低くても返済額が多くなってしまうため、融資を受ける際の注意点を基に、事前にしっかりと準備を行っておきましょう。

1.そもそも借り入れする必要があるかを考える

本当に事業資金を借り入れてよいのか、しっかりと検討することが大切です。事業資金の調達には、借り入れ以外にもさまざまな選択肢があるからです。

融資以外の方法で資金を調達すると、借り入れ時の利息を支払わなくても済む可能性があります。資金調達コストが低くなるため、資金繰りに悩む事業者ほど有利です。

また、借り入れを行う場合でも、可能な限り融資額を抑えられるよう考慮しましょう。運転資金や設備資金に必要な金額を詳細に洗い出し、余分な返済コストが増えない最低限の借り入れ額を計算しておくことが重要です。

2.返済計画を立てた上で借り入れする

事業資金を借り入れるときは、スムーズな返済ができるよう中期経営計画と返済計画の両方のプランを立てておきましょう。

なぜなら中期経営計画に狂いが生じた場合でも、計画書に則ってプランを修正し、返済計画に支障がないような舵取りができるからです。

また、計画内容が明確なほど享受できるメリットも多くなります。明確な計画であれば、金融機関からの信用力が高まるだけでなく、金利の引き下げや利用限度額の引き上げといった有利な融資条件の交渉に役立つでしょう。

3.審査の甘い借りやすい金融機関は金利が高い

ビジネスローンやノンバンクの融資サービスは、銀行のプロパー融資に比べて審査が緩い分、上限金利は高めに設定されています。

審査が甘くなるほど金利が高くなる理由は、借り手の信用力に起因しているからです。

借り手の信用力が低い場合貸し手にとっては貸し倒れリスクがあります。ある程度の貸し倒れリスクを許容するため、金利を上げて損失回避を行っているのです。

そのため、まずは金利の低い(=審査が厳しい)金融機関を検討し、最終手段として借りやすい金融機関を選択肢に入れるとよいでしょう。

事業資金の借り入れで法人に総量規制は適用される?

法人が事業資金用途で融資を受ける場合、総量規制は適用されません。日本貸金業協会の公式ホームページにも、次のような記載があります。


法人については、総量規制は適用されません。法人の経営状態はさまざまで、例えば売上げなどの一定の数値的基準をもって法人の借入れを一律に過剰貸付けとすることは不適当ですので、個人における年収の3分の1といった定型的な総量規制が適用されないものです。
出典:日本貸金業協会

総量規制とは、年収の3分の1までの融資額しか借り入れができない金融ルールです。貸金業者に該当する消費者金融や信販会社などのローン商品は、この総量規制の対象に入ります。

一方、法人の場合は売上などの基準値が企業によってさまざまなので、総量規制は適用されません。

各金融機関が定める利用限度額の範囲内であれば自由に借り入れできます。ただし、事業内容や返済能力を審査するうえで、利用限度額が制限される可能性もあります。

事業資金の調達におすすめの公的支援

事業資金の調達におすすめの公的支援制度を3つご紹介します。

新創業融資制度
マル経融資制度
小規模事業者持続化補助金

それぞれの詳細について見ていきましょう。

①新創業融資制度

新創業融資制度は、日本政策金融公庫が提供する公的支援制度です。新しく事業を開始する創業者向けに、事業に必要な運転資金や設備資金を提供しています。融資限度額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)です。

支援を受けるために担保や保証人が要らないため、借り入れしやすい融資先を検討している人に向いています。

基準利率は年2.41~2.9%と低金利で借り入れができ、さらに特別利率が反映されると年1.01~1.5%まで下がります。

資金の使途
新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
基準金利
年2.41~2.9%
融資限度額
3,000万円(うち運転資金1,500万円)
担保
不要
保証人
不要
利用条件
【次の1~3のすべての要件に該当する方】
創業の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
雇用創出等の要件
「雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等の一定の要件に該当する方(既に事業を始めている場合は、事業開始時に一定の要件に該当した方)
なお、本制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回のご融資分も含みます。)の方については、本要件を満たすものとします。
自己資金要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします。

②マル経融資制度

マル経融資制度(小規模事業者経営改善資金)とは、日本政策金融公庫や地方の商工会などが提供している公的支援制度です。

実質年率1.21%という低い金利で事業資金の借り入れができます。借り入れを行う際には担保も保証人も必要ありません。

運転資金と設備資金をそれぞれ2,000万円まで借りることができ、据置期間を含め最長10年まで返済期間の猶予があります。

資金の使途
事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
基準金利
年1.21%
融資限度額
運転資金:2,000万円
設備資金:2,000万円

担保
不要
保証人
不要
(商工会議所会頭、商工会会長等の推薦が必要)
利用条件
常時使用する従業員が20人(商業またはサービス業(宿泊業および娯楽業を除く)に属する事業を主たる事業として営む方については5人)以下の法人・個人事業主の方
最近1年以上、商工会議所地区内で事業を行っている方(商工会地区の方は「商工会地区内」となります)
商工会議所の経営・金融に関する指導を原則6ヵ月以上受けており、事業改善に取り組んでいる方(商工会地区の方は商工会の経営指導となります)
税金(所得税、法人税、事業税、都道府県民税等)を完納している方
日本政策金融公庫の非対象業種等に属していない業種の事業を営んでいる方

③小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、日本商工会議所が提供する公的支援制度です。

条件に該当する小規模事業者であれば、最大50万円の補助金が受け取れます。借り入れとは異なり、利息や返済義務がなく、開業間もない創業者に役立つ制度といえるでしょう。

補助金は50万円の範囲内かつ経費の3分の2までと認められています。

補助金額
50万円以内
経費の3分の2まで

補助対象
機械装置等費
広報費
展示会当出展費
商品開発費
旅費
資料購入費 など

利用条件
会社および会社に準ずる営利法人
(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合)
個人事業主(商工業者であること)
一定の要件を満たした特定非営利活動法人

まとめ

今回は、事業資金の借り入れができる方法を5種類ご紹介しました。

日本政策金融公庫
商工会・商工会議所
民間の銀行
信用金庫
ノンバンク

上記のうち、金利が低く借り入れもしやすい日本政策金融公庫がおすすめです。ただし、利息によって返済コストの上昇を懸念する人は、ファクタリングやクラウドファンディングなど借り入れ以外の方法も検討してみましょう。

資金調達方法はさまざまですが、事業内容や融資額に合わせて最適なものを選びましょう。

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