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銀行融資を受けやすくする事業計画書の考え方・書き方のコツとは?

融資の審査でとくに重要な提出書類が事業計画書です。ビジネスプランをまとめた事業計画書は、銀行が融資を決定するかどうかの大きな判断材料となります。

決算書の内容があまりよくなくても、事業計画書がよければ資金調達ができる可能性が大きくなるほど重要です。

融資を検討する方のなかには、「事業計画書にはどんな項目を記載すべき?」「融資の審査で有利になる事業計画書を書きたい」と悩む方もいるのではないでしょうか。

この記事では、融資を受けやすくする事業計画書の考え方と書き方のコツをわかりやすく解説していきます。

事業計画書とは?計画書を作成する3つのメリット

事業計画書とは、会社の経営方針や事業戦略、財務計画を具体化した書類のことです。

事業計画書を作成する主なメリットは以下の3つです。

  • 資金調達しやすくなる
  • 経営戦略の見直しができる
  • 社員のモチベーションアップにつながる

事業計画書について「融資を受ける際に銀行から提出を求められる書類」というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

本来、事業計画書は起業の際に作成すべきものであり、堅実経営のためには綿密な事業計画が必要不可欠です。ブラッシュアップを重ねていけば事業戦略はいっそう研ぎ澄まされ、その結果業績を伸ばすことにつながります。

また、事業計画書があることで経営トップと社員で事業戦略の共有がスムーズになります。事業成功によって社員に利益がもたらされるとわかれば、社員の意識にも前向きな変化が見られるでしょう。

ひいては、しっかりと作り込まれた事業計画書があれば融資の際も大変有利にはたらきます。

銀行融資を受けるための事業計画書の書き方は?項目別に解説

銀行の融資を受けるには、説得力のある事業計画書の作成が必要不可欠です。

決まった書式はありませんが、融資担当者を納得させるために以下10の項目は盛り込むようにしましょう。

  1. 会社概要
  2. 創業の目的・ビジョン
  3. 自社サービス・商品の内容と強み
  4. 市場規模と市場環境
  5. 競合他社の動向
  6. 数値目標
  7. 販売計画と仕入計画
  8. 売上と利益の予測
  9. 社内体制
  10. 財務計画・返済計画

ここからは、それぞれの項目で記載すべき内容について詳しく説明していきます。

1.会社概要

事業計画書には、会社のプロフィールともいえる会社概要を記載します。

具体的な項目は下記の通りです。

  • 会社名
  • 代表者
  • 所在地
  • 資本金
  • 事業内容
  • 設立
  • 従業員数

これらの情報は最低限記載してください。

会社の事業内容や実績をイメージしてもらうため、取引先や取引銀行、仕入先などを記載するのもOKです。創業から間もない、あるいは経営実績がない場合は、代表者の経歴を細かく記載することで本気度が伝わりやすくなります

2.創業の目的・ビジョン

事業を通してどのようなことを実現したいのかという点は、融資担当者がもっとも気になるポイントのひとつです。

  1. 誰に(ターゲット)
  2. 何を(商品・サービス内容)
  3. どのように(販売方法)

この3つを意識し、文章に具体性を持たせることが大切です。

【物流運送業の例】

  1. 行動制限を求められる人々に対し(誰に)
  2. 食料や生活物資を(何を)
  3. 安全かつ確実に輸送する(どのように)

加えて、事業を通してどのような発展を遂げていきたいかというビジョンも明確にしましょう。

3.自社サービス・商品の内容と強み

事業を成功させるには、自社のサービスや商品に魅力を感じてもらうことが大前提です。

サービスの特徴と強みをアピールし、ターゲットとなる顧客に対してどのように販売活動を行なっていくかを説明しましょう。

新商品や新しいビジネスを展開する場合、収益化の仕組みをイメージ化した資料を添付するのがおすすめです。

4.市場規模と市場環境

市場規模の項目で記載すべき具体的なポイントは以下の3つです。

  • 市場規模の推移
  • 市場のニーズ・トレンド
  • 市場の成長率

まずは市場規模とニーズを明らかにすること。その上で、どのような事業戦略を立てているかをセットで説明できるのが理想です。

市場の情報を集めるには、リサーチ会社の活用がおすすめです。費用はかかりますが、競合他社との差別化を図るのにも役立ちますので、予算が合えばぜひご活用ください。

5.競合他社の動向

事業計画書には、市場規模とあわせて競合他社の動向も記載します。

競合他社は3社ほどピックアップし、それぞれの特徴や強みを分析します。具体的に洗い出しておきたい項目は以下の通りです。

  1. 何を(サービス・商品)
  2. いくらで(価格)
  3. どのような方法で(販売戦略)

いわゆる、3C分析や4C分析と呼ばれるものです。

この3つが分析できると、市場における自社の立ち位置と強みが見えてきます。また、他社との差別化や独自性のあるサービス・商品の立案にもつながるので、できるだけ細かな分析を行ないましょう。

6.数値目標

数値目標は、財産と負債のバランスを知るいわば「企業の健康診断書」のようなものです。

事業計画書の中でもとくに重要な項目であり、かつ占めるウェイトも大きいので、売上目標や利益目標はより具体的に設定しなければなりません。

数値目標は、財務三表と呼ばれる以下3つの書類で構成します。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書

上記に加え、長期資金計画と財務計画のゴールを盛り込むと数値目標としての精度が上がります。

7.販売計画と仕入計画

事業計画書では、販売計画と仕入計画をそれぞれ示す必要があります。

販売計画を立てる際はまず、どの顧客に・どの商品(サービス)を・どんな方法で販売するかを決定しなければなりません。内容に具体性を持たせるため、顧客ごとの販売額や数量、商品の種類は細かく設定しましょう。

販売計画が決定したら、同じようにどの商品を・どこから・どれだけ仕入れるかといった仕入計画も考えます。仕入計画で大切なのは、欠品を防ぐことと仕入予算を超過しないことです。

販売・仕入計画を見比べると、より多くの利益を見込める商品や利益率の高い商品が見えてきます。効率よく売上が伸ばせる商品を判断し、売上と利益の予測に役立ててください。

8.売上と利益の予測

事業計画書に記載する売上と利益は、1年単位で予測を立てます。

年単位で正確な予測を立てるには、1日・1週間・1ヶ月ごとの数字を積み上げて計算する必要があります。業種や商品によって売上が伸びやすい時期、伸びにくい時期があるかと思いますので、市場環境や競合調査から算出した数字で根拠のある予測を立ててください。

9.社内体制

どのような体制で事業を進めるか、部署または社員の役割を明確にした社内組織図を作成します。

社内体制をまとめる目的は、今後売上が伸びた時にかかってくる人件費や採用コスト予測するためです。売上と人件費は密接に関係するので、売上が高くなると予測される場合は長期的な人員計画を作成しましょう。

10.財務計画・返済計画

融資する側は、貸したお金の使い道と確実に返済できる事業計画であるかを確認します。

返済計画に無理があると判断された場合、融資を受けることはできません。融資を成功させるためにも、数値目標と販売計画をもとに具体性のある返済計画を作成しましょう。

さらに、事業が拡大した先、融資を受ける可能性がある場合はその旨も記載しておくといいでしょう。

銀行融資をより有利にする事業計画書の3つのポイント

事業計画書の作成で記載すべき項目がわかったところで、融資に有利な書き方のコツをご紹介します。

融資担当者を納得させられる内容に仕上げるには、以下3つのポイントを意識しましょう。

  1. 実現可能な理由を論理的に記載する
  2. 根拠のある数字を使用する
  3. やる気や熱意を込める

ここからは、それぞれのポイント詳しく解説していきます。

①実現可能な理由を論理的に記載する

融資担当者は、貸したお金が何に使われ、どのような計画で返済されるのかを把握したいと考えます。

事業計画書の内容が実現可能かどうかは、これまでの実績や分析内容をもとに「説得力があるかどうか」で判断されます。たとえば、直近の売上が大幅にダウンしているにもかかわらず、次年度で高い売上目標を立てるには確固たる根拠が必要です。

融資を有利にしようとするあまり、会社をよく見せることはかえって逆効果です。事業計画書が非現実的なものにならないよう、論理的かつ整合性のとれた内容に仕上げることを心がけましょう。

②根拠のある数字を使用する

理論的かつ整合性のある事業計画書とは、つまるところ根拠のある数字をどれだけ示しているかで決まります。

仮に、「来年度の売上を2倍に増やす」という目標を立てたとします。この目標を達成するための企業努力が「社員一丸となって取り組む」という回答では、融資担当者に根拠を示すことができません。

第三者が根拠のある数字だと判断できるよう、客観的な数字を明示することが大切です。売上や仕入計画、利益目標はもちろんですが、その数字を立てた根拠や裏づけも具体的に示しましょう。

③やる気や熱意を込める

事業計画書は、ネットのテンプレを真似するのではなく自分の言葉で丁寧に作成しましょう。

売上や返済計画など数字的な部分はもちろんですが、融資担当者は経営者にどれだけやる気があるかも判断材料にします。

事業計画書の作成にはさまざまな書類の準備が必要で、簡略化したいという思いからついネットの情報に頼りがちです。しかしながら、テンプレを引用しただけの文章で経営者の熱意をアピールするのは困難です。

やる気や熱意を伝える文章が長文である必要はありません。「事業を成功させたい」という気持ちを伝えることを意識してみてください。

事業計画書のPDFテンプレートはある?

事業計画書に決められた雛形はありません。

本記事「銀行融資を受けるための事業計画書の書き方は?項目別に解説」で解説した項目が盛り込まれていれば、基本的にはどんな形式で作成してもOKです。ただし、銀行が指定するフォーマットで提出を求められた場合は先方の指示に従ってください。

事業計画書の作成がはじめての方は、マイクロソフトが提供する事業計画書のExcelテンプレートを活用すると便利です。必要事項に入力するだけなので、自分でフォーマットを作成するよりも簡単に事業計画書が作成できます。

▼マイクロソフトのPDFダウンロードページ

マイクロソフト:事業計画書Excelテンプレート

事業計画書は1枚でいい?テンプレートに資料を添付するのがおすすめ

事業計画書は量よりも質を重視されるので、必要項目が記載されていれば枚数は1枚でも問題ありません。

何十枚にもおよぶ複雑な書類よりも、A3用紙1枚に簡潔にまとまった書類の方が理想です。

ただし、作成した事業計画書の根拠を示すという意味では別途資料を添付した方がわかりやすいこともあります。とくに、表やグラフで説明した方がわかりやすい項目は添付書類を作成し、事業計画書の質を高めることが大切です。

日本政策金融公庫の融資と銀行融資とでは事業計画書が異なる

事業計画書とよく似た書類に「創業計画書」というものがありますが、この2つは似て非なるものです。

事業計画書すでに展開している事業に対し、売上や経費などのデータをもとに作成するもの。これまでの実績と現状を踏まえ、今後の数値目標や売上予測、返済計画を立てる。
創業計画書事業開始前、または事業開始直後に作成するもの。事業が形になっていないため、経営者の経歴や融資に有利になる情報で構成するところが大きい。売上や経費は見通しを記載する。

両者の決定的な違いは「事業を開始しているかどうか」ですが、金融機関によって創業計画書を事業計画書と同じものとして扱う場合もあります。どちらの書類が必要かは、融資の相談とあわせて金融機関に確認しましょう。

ちなみに、日本政策金融公庫や信用保証協会の融資を受ける場合、事業計画書ではなく創業計画書の提出が必要です。

加えて、日本政策金融公庫には指定された創業計画書があるため、日本政策金融公庫の融資申し込みは公式サイトから専用の書式をダウンロードしてください。

▼日本政策金融公庫のPDFダウンロードページ

日本政策金融公庫:創業計画書

Excelはこちらから

日本政策金融公庫の創業計画書の実例サンプル

日本政策金融公庫では、創業計画書の作成に役立つ便利な実例サンプルを用意しています。

▼サンプルの例

  • 洋風居酒屋
  • 美容業
  • 中古自動車販売業
  • 婦人服・子供服小売業
  • ソフトウェア開発業
  • 内装工事業
  • 学習塾
  • 歯科診療所
  • 介護サービス

サンプルは業種ごとに分かれているので、日本政策金融公庫へ創業計画書を提出する際はぜひお役立てください。

銀行融資を受けるには論理的で根拠のある事業計画書が必須!経営者の熱意をアピールし融資に有利な計画書を作成しよう

銀行融資を受けるには、根拠のある数字にもとづいて作成された実現性の高い事業計画書が必要不可欠です。

業績や市場規模をもとに客観的な数値目標を算出できれば、事業計画書の質がぐっと上がります。そこに「事業を成功させたい」という経営者の熱意が加われば、融資に有利な計画書が仕上がるでしょう。

この記事では、事業計画書に記載すべき項目と書き方のポイントを開設しました。融資を検討されている方は、この記事を参考にして融資担当者をうならせる事業計画書を作成してください。

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